脇ボトックスについて医師が解説
2024.02.09
脇ボトックスとは
ボトックスで脇の悩みを解消する
脇ボトックス治療は、多汗症やワキガの症状を抑制するため、脇の下にボトックスを注射する方法です。
ボトックスが汗腺の過剰な活動を抑えることにより、服の汗ジミを減らしたり、脇のニオイを抑制します。
手術やマイクロ波治療に比べ、施術時間が短く、日常生活への影響が最小限である点が特徴です。治療後、数日で汗の量が減少しはじめ、効果はおよそ3〜6ヶ月続きます。
ボトックスの基礎知識
ボトックスは、ボツリヌス菌によって生成されるA型ボツリヌス毒素を医療用に安全に処理した製剤です。
もともとは顔や眼瞼の痙攣治療に使用され、美容分野では主に顔のシワを目立たなくする目的に、そして脇や額などの汗を抑える目的でも利用されています。
多汗症の基礎知識
多汗症は、体温調節のため以上に過剰に汗をかく状態を指し、温暖な環境下や運動をしていない時でも発生します。
この多汗症は原因の有無で原発性と続発性に分類されます。
特定の部位(手のひら、足の裏、脇の下、顔など)に限局し、医学的原因が見当たらないケースを原発性多汗症と呼びます。
一方、他の病気が原因で体全体にわたって過剰な汗をかくケースを続発性多汗症と呼びます。
ワキガの基礎知識
ワキガは、脇の下のアポクリン汗腺から分泌される汗が原因で発生する特有の臭いを指します。この臭いは、汗が皮膚上の細菌によって分解されることで生じます。
遺伝的要素が大きく、アポクリン汗腺の多い人ほど発生しやすいとされています。
脇毛が多い方はアポクリン汗腺が多い傾向にあるため、ご自身がワキガでないかチェックするようにしましょう。
臭いや脇汗が止まるメカニズム
脇にボトックスを注射すると、汗腺を取り巻く神経に作用し、汗腺からの汗分泌信号をブロックします。
これにより汗の量が1/3以下に大幅に減少し、ワキガの原因となる汗と細菌の反応も抑えられ、臭いの発生を効果的に減らします。
脇ボトックス治療の効果
効果はどのくらい続く?
脇ボトックス治療の効果持続期間には個人差がありますが、3〜6ヶ月が目安です。
効果の継続時間は、使用されるボトックスの量や、受ける人の体質により変わります。効果が薄れてきた場合には、再治療を受けることで、症状のコントロールを持続させることができます。
汗の量が多くなる春夏シーズンに合わせて年に一度治療を受ける方も多いです。
効果に個人差はある?
脇ボトックス治療の効果には、確かに個人差が存在します。これは、人それぞれで汗腺の密度や活動性が異なり、ボトックスへの反応にも差があるためです。
ワキガの程度や、汗の量によっても効果の感じ方は変わります。
そのため、治療を受ける前に、どの程度の効果を得たいのか、医師とよく相談しましょう。
他のワキガ治療との違い
脇ボトックス治療の最大の特徴は、体への負担が少ない非侵襲性にあります。
ミラドライではマイクロ波を使用して汗腺を破壊し、長期的な効果を期待できるものの、一定のダウンタイムや、まれに神経損傷のリスクがあります。
手術は、汗腺を直接除去するため、永続的な効果を得られますが、手術固有のリスクや回復期間が必要です。
これに対し、脇ボトックス治療は、注射をするだけなので、即時性があり、日常生活への影響が非常に小さい点が大きなメリットです。ただし、治療効果は一時的であり、定期的な再治療が必要となります。
施術の流れ
診察
治療前の診察では、医師が患者様のワキガや多汗症の状態、健康状態、アレルギーの有無、治療に対する希望をお伺いします。
このステップは、患者様が治療のプロセスや費用について十分理解し、安心して治療を進められるようにするために不可欠です。
脇へのボトックス注射
治療では、非常に細い針を使用してボトックスを脇の下に注入します。数分で完了し、多くの患者様は痛みもあまり感じません。
治療後はすぐに日常生活へと戻れますが、注射部位を擦ったり、激しい運動を避けるようにしましょう。
よくある質問と回答
痛みはありますか?
痛みは個人差がありますが、ほとんどの患者様にとっては軽度です。非常に細い針を使用し、痛みを最小限に抑えるようにしています。
痛みに対する不安がある場合は、治療前に医師と相談してください。
保険適応はできますか?
脇ボトックス治療の保険適応は、日本では原発性腋窩多汗症に限り、保険が適用されることがあります。
ただ、多くのケースでは自費診療となります。自費診療の場合、料金はクリニックによって異なるため事前によく確認するようにしましょう。
ボトックスの使用量はどのくらいですか?
ヘアケアクリニックでは片側で20〜50単位が目安となります。患者様の症状の重さや治療の目的、期待する効果によって量を調整します。
繰り返し受けられますか?
はい、脇ボトックス治療は繰り返し受けることが可能です。効果の持続期間は約3〜6ヶ月で、効果が薄れた後に再治療を受けることで、症状の改善を維持できます。
治療のタイミングや間隔については、医師とよく相談しましょう。
まとめ
脇ボトックス治療は、ワキガや多汗症に悩む人にとって効果的かつ手軽な解決となるため、人気の高い方法です。治療は短時間で完了し、痛みは少なく、ダウンタイムもほとんどないため、多くの患者様に選ばれています。
また、繰り返し治療を受けることで、多汗やワキガの症状を長期的に抑えることも可能です。
脇ボトックス治療に興味がある方は、まずは医師へ相談してみましょう。
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監修医師
ヘアケアクリニック 六本木院 副院長 / 技術指導医
後藤佳亮医師
名古屋大学医学部卒業・医師免許取得。
卒業後、愛知県にて研修を修了し、関東エリアにて病院勤務。
現在はヘアケアクリニック六本木院の副院長としてヒアルロン酸やボトックスの注入治療全般、肌管理、美肌治療を専門としている。